グリストラップを清掃すると、底にたまった汚泥、水面に浮いた油脂、バスケットにたまった食材くずなどが出てきます。
ここで迷いやすいのが、「これって全部まとめて捨てていいの?」「普通のごみとして出せる?」「産業廃棄物になるの?」という処分方法ですよね。
グリストラップから回収したものは、すべて同じものではありません。底の汚泥、水面の油脂、バスケットの食材くずは分けて考え、廃棄物の種類や自治体のルールなどを確認して適切に処理することが大切です。
特に飲食店から出る廃棄物は事業活動によって発生したものなので、家庭ごみと同じ感覚で捨てるのは避けましょう。
この記事では、グリストラップから回収した汚泥・廃油・食材くずの違いから、処分するときの注意点、業者へ相談したほうがよいケースまで分かりやすく解説します。
なお、汚泥が大量にたまっていて自分たちでの清掃が難しい場合や、「どこまで自分で対応すればいいのか分からない」という場合は、無理に作業せず清掃サービスへ相談する方法もあります。清掃の依頼先を探している方は、幅広い清掃サービスをまとめて相談できるKirei Oneも選択肢のひとつです。
グリストラップの汚泥とは?
グリストラップというと水面に浮いた油を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、内部には水面の油脂だけでなく、底にも汚れがたまっていきます。
槽の底に沈んだ細かな汚れが汚泥としてたまる
厨房から流れてきた食材くずなどのうち、比較的大きなものは入口側のバスケットで受け止められます。
しかし、すべての細かな汚れをバスケットだけで取り除けるわけではありません。
バスケットを通過した細かなものなどのうち、水より重いものは槽の底へ沈み、泥状の汚れとしてたまっていきます。
こうした底にたまった汚れを、この記事では「汚泥」として説明していきます。
グリストラップから回収されるものは汚泥だけではない
処分方法を考えるときに重要なのが、グリストラップから取り出したものをすべて「汚泥」と呼ばないことです。
| 回収する場所 | 主に回収されるもの |
|---|---|
| バスケット | 食材くずなど |
| 水面 | 浮上した油脂 |
| 槽の底 | 沈殿した汚泥など |
この違いは、廃棄物としての扱いを考えるうえでも大切です。
なお、廃棄物処理に関する資料では「動植物性残さ(どうしょくぶつせいざんさ)」という言葉も使われます。「残さ」とは、処理や作業のあとに残ったものという意味です。
ただし、飲食店のバスケットから出た食材くずを、すべて産業廃棄物の「動植物性残さ」と考えるのは正確ではありません。飲食店などから排出される食材くずなどは、事業活動に伴って生じた一般廃棄物として扱われるものがあります。
この記事では分かりやすさを優先し、普段の説明では「食材くず」と表記します。
グリストラップの汚泥はどう処分する?
グリストラップから汚泥を取り出したら、店舗の判断だけで排水口へ戻したり、家庭から出るごみと同じように捨てたりするのは避けましょう。
事業者には、事業活動に伴って発生した廃棄物を適正に処理する責任があります。
特にグリストラップから出るものには、汚泥、油脂、食材くずなど性質の異なるものが含まれるため、「グリストラップから出たごみ」という理由だけで、すべて同じ捨て方をすることはできません。
何に該当するか判断できない場合は、自店舗がある自治体の廃棄物担当部署や、適切な廃棄物処理業者などへ確認しましょう。

汚泥・廃油・食材くずは分けて考えよう
グリストラップを清掃したあとに出るものは、大きく「底の汚泥」「水面の油脂」「バスケットの食材くず」に分けて考えると分かりやすくなります。
槽の底から回収した汚泥
廃棄物処理法では、「汚泥」は産業廃棄物の種類のひとつとして定められています。
ただし、実際にグリストラップから回収したものをどのように分類し、どの方法で処理すべきかについては、排出されたものの性状や状況なども踏まえて確認する必要があります。
「泥のように見えるから普通ごみでいいだろう」と自己判断せず、分からない場合は自治体や適切な処理業者へ確認するのが安心です。
水面から回収した油脂・廃油
水面に浮いている油脂は、底に沈んだ汚泥とは別に考えます。
廃棄物処理法上の産業廃棄物には「廃油」があり、動植物性油脂に係る廃油も含まれます。
グリストラップで回収した油脂について大切なのは、回収したあとにシンクや排水口へ戻さないことです。
せっかくグリストラップで分離した油脂を再び排水へ流してしまえば、排水管や下水道管の詰まりにつながるおそれがあります。
自治体によっては回収した油脂のリサイクルを案内している場合もあるため、地域の取り扱いも確認してみましょう。
バスケットから回収した食材くず
バスケットには、野菜くず、米粒、麺、肉や魚の細かな食材くずなどがたまります。
ここで注意したいのが、先ほど触れた「動植物性残さ」という言葉です。
産業廃棄物としての「動植物性残さ」は、食品製造業など特定の事業活動から生じるものが対象です。一方、環境省の通知では、飲食店などから排出される動植物性の残り物や厨房ごみは、事業活動に伴って生じた一般廃棄物として扱うことが示されています。
つまり、「飲食店から出た食材くず=産業廃棄物の動植物性残さ」と単純に考えることはできません。
実際の出し方については自治体ごとに事業系ごみのルールが設けられているため、自店舗の所在地で確認してください。
グリストラップの汚泥は産業廃棄物?一般廃棄物?
「グリストラップの汚泥は産業廃棄物なの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
ここでまず覚えておきたいのは、飲食店から出たものがすべて産業廃棄物になるわけではないということです。
事業から出たごみがすべて産業廃棄物になるわけではない
廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められているものが産業廃棄物に該当します。
それ以外は一般廃棄物となり、事業活動から出たものについては一般に「事業系一般廃棄物」などと呼ばれています。
そのため、「飲食店から出た=全部産業廃棄物」と考えるのは間違いです。
グリストラップから出たものは中身を分けて考える
グリストラップから回収されるものには、底の汚泥、水面の油脂、バスケットの食材くずなどがあります。
廃棄物処理法上では「汚泥」「廃油」といった産業廃棄物の種類がある一方、「動植物性残さ」は排出する業種によって産業廃棄物に該当する範囲が定められています。
そのため、グリストラップから取り出したものをひとまとめにして「全部産業廃棄物」「全部一般廃棄物」と判断しないことが大切です。
判断できないときは自治体や処理業者へ確認する
廃棄物の区分は分かりにくく、店舗側では判断しづらいケースもあります。
迷った場合は、自店舗を管轄する自治体の廃棄物担当部署などへ確認しましょう。
処理を業者へ委託する場合も、処理する廃棄物に応じた適切な許可を持つ業者であるかを確認することが重要です。
グリストラップの汚泥を処分するときにやってはいけないこと
処分方法が分からないからといって、とりあえず排水へ流したり、ほかのごみと一緒に捨てたりするのは避けましょう。
汚泥や油脂を排水口へ流す
グリストラップは、厨房排水に含まれる油脂やごみなどを取り除き、排水管や下水道管へ流れにくくするための設備です。
清掃によって回収したものを再び排水口へ流してしまっては、グリストラップを設置している意味が薄れてしまいます。
特に油脂は排水管や下水道管に付着し、詰まりの原因になることがあります。
油脂を細かくして排水へ流す
「油を細かくすれば流しても大丈夫なのでは?」と思うかもしれませんが、この方法にも注意が必要です。
東京都下水道局では、グリストラップ内の油脂を乳化・分散させて排水として流すタイプの油脂処理剤などを使用しないよう案内しています。
油が見えなくなったように感じても、排水として流してよいとは限りません。
廃棄物の種類を確認せずに捨てる
底から取った汚泥、水面から回収した油脂、バスケットの食材くずは、それぞれ性質が違います。
「全部グリストラップから出たものだから同じ」と考えず、適切な処理方法を確認してください。
業者の許可などを確認せずに処理を任せる
産業廃棄物に該当するものの処理を外部へ委託する場合、排出した事業者にも適正処理に関する責任があります。
「業者に渡したから、あとは関係ない」というわけではありません。
委託する廃棄物の種類に対応した許可などを確認し、必要に応じて委託契約や産業廃棄物管理票(マニフェスト)など、適正な処理に必要な手続きを確認しましょう。

グリストラップの汚泥処理を業者に依頼したほうがいいケース
日常的なグリストラップ清掃は店舗スタッフで対応できることもありますが、状態によっては専門業者へ相談したほうがよい場合があります。
汚泥や油脂が大量にたまっている
長期間しっかりと清掃しておらず、槽の底に大量の汚泥がたまっている場合は、店舗スタッフだけで回収するのが難しくなることがあります。
水面に厚く油脂がたまっている場合なども、無理に作業せず専門業者への相談を検討しましょう。
槽内までしっかり清掃したい
バスケットの清掃や水面の油脂回収とは違い、槽内全体の本格的な清掃では専門的な設備が必要になる場合があります。
日常清掃だけでは取り切れない汚れが目立ってきたときは、専門業者へ相談するタイミングのひとつです。
汚泥の処分方法が分からない
「この汚れは何に分類される?」「どこへ処理を依頼すればいい?」と判断できない場合も、自己判断で捨てないことが大切です。
自治体の担当部署へ確認したり、適切な処理業者へ相談したりしましょう。
清掃をどこへ相談すればよいか迷っている場合は、清掃をはじめ幅広い作業に対応するKirei Oneを相談先のひとつとして検討できます。
なお、汚泥や廃油の収集運搬・処分まで依頼できるか、必要な許可を持つ事業者が対応するかなどは、廃棄物の種類や依頼内容によって確認が必要です。申し込み前に、希望する作業範囲を具体的に伝えて確認しましょう。
グリストラップの汚泥回収・処理にはどのくらい費用がかかる?
グリストラップの汚泥処理にかかる費用は、一律ではありません。
グリストラップの容量や汚泥の量、設置場所、作業のしやすさ、使用する車両や機材、回収後の処理などによって変わります。
また、「汚泥の処理費」だけを見ているのか、「グリストラップ全体の清掃・回収・処理を含めた料金」なのかによっても金額は変わります。
そのため、見積もりを取るときは金額だけでなく、どこからどこまでが料金に含まれているのかを確認しましょう。
グリストラップ清掃を業者へ依頼するときの料金相場については、別の記事で詳しく解説しています。
汚泥処理を業者へ相談するときに確認したいこと
業者へ相談するときは、「グリストラップを掃除してください」だけではなく、作業内容と回収後の扱いまで確認しておくと安心です。
- どこまでの清掃が料金に含まれているか
- 底にたまった汚泥の回収を含むか
- 水面の油脂も回収してもらえるか
- 回収したものの処理まで依頼できるか
- 処理費用が見積もりに含まれているか
- 追加料金が発生する条件はあるか
- 必要な許可などを確認できるか
特に「清掃料金は安かったけれど、汚泥の回収や処理が別料金だった」ということがないよう、見積もりの範囲を確認しておきましょう。
グリストラップの汚泥処分についてよくある質問
グリストラップの汚泥は普通ごみに捨てられる?
「普通ごみに捨てて大丈夫」と全国一律に判断することはできません。
事業活動から出た廃棄物なので、廃棄物の種類や自治体のルールなどを確認して適切に処理する必要があります。分からない場合は自治体の廃棄物担当部署などへ確認してください。
グリストラップの汚泥は産業廃棄物?
廃棄物処理法では「汚泥」が産業廃棄物の種類として定められています。
ただし、グリストラップから回収したものには油脂や食材くずなども含まれるため、すべてをまとめて「汚泥」と判断しないことが重要です。実際の性状や排出状況などに応じて確認しましょう。
水面に浮いた油は排水へ流してもいい?
流さないようにしましょう。
グリストラップで分離・回収した油脂を排水へ戻すと、排水管や下水道管の詰まりにつながるおそれがあります。適切に回収し、地域のルールなどに従って処理してください。
バスケットの食材くずも汚泥になる?
バスケットから回収した食材くずと、槽の底にたまった汚泥は分けて考えましょう。
また、飲食店から出る食材くずについては、産業廃棄物の「動植物性残さ」とは異なり、事業活動に伴って生じた一般廃棄物として扱われるものがあります。
汚泥の回収は自分でできる?
日常清掃として店舗側で対応できる範囲もあります。
ただし、大量の汚泥がたまっている場合や、槽内全体の本格的な清掃が必要な場合などは、専門業者への相談を検討しましょう。
汚泥の処理方法が分からないときはどこに相談する?
まずは店舗所在地を管轄する自治体の廃棄物担当部署などへ確認するとよいでしょう。
実際の回収・処理については、対象となる廃棄物を適切に取り扱える処理業者へ相談します。グリストラップそのものの清掃については、清掃サービスへ相談する方法もあります。
まとめ|グリストラップの汚泥・廃油・食材くずは適切に処分しよう
グリストラップから回収されるものは一種類ではありません。
槽の底にたまった汚泥、水面から回収した油脂、バスケットにたまった食材くずを分けて考えることが、適切な処分の第一歩です。
また、飲食店から出る食材くずがすべて産業廃棄物の「動植物性残さ」になるわけではありません。一方で、汚泥や廃油は産業廃棄物の種類として定められているため、回収したものの性状や排出状況などに応じた確認が必要です。
分からないまま排水へ流したり、家庭ごみと同じ感覚で処分したりせず、自治体のルールを確認しましょう。
店舗スタッフだけでは回収が難しいほど汚れがたまっている場合や、本格的な槽内清掃が必要な場合は、専門業者への相談も検討してください。


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